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労働基準法第15条1項により、労働者を雇用する雇用主は、労働契約の締結に際して、賃金や労働時間等の労働条件を労働者に対して明示しなければならないと定める。
この義務は、従来、使用従属関係の下、その労働条件はしばしば曖昧なままで、使用従属関係がスタートし、企業にとっては、柔軟に使用人を使う事ができ、労働者にとっては、自身のキャリアデザインの組みにくさや思わぬ変動のリスクを抱えながらも、長期雇用、場合によっては終身に近い超長期の雇用関係が維持されることで、何とかバランスをとってきた。
しかし、すでに時代は変わり、終身雇用はとっくに過去のものとなり、他方で働き方の多様化、個人のキャリア観の進展・多様化から、その労働条件は明示されてこそ、労働者の権利が守られるという考え方の下、年を追うごとにこの明示義務の範囲が拡大・明確化されてきている。
労働者を採用するときには、その労働条件は、労働条件通知書により、原則書面にて明示されなければならず、その明示すべき項目も、拡大しており、
・契約期間に関すること
・期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
・就業の場所、従業する業務に関すること
・始業・終業時刻、休憩、休日*などに関すること
・賃金の決定方法、支払時期などに関すること
・退職に関すること(解雇の事由を含む)
・昇給に関すること
これらは、明示されなければならない項目として示され、更に厚生労働省のホームページにおいてその様式集がデータ提供されており、その中身をみれば、求められている明示の程度がすぐに把握できる
この様式化と明示範囲の拡大を通じて、この明示化が進み、新しい明示ルール化で雇用された労働者は、明示された条件と現実の条件の乖離を容易に見える化し、雇用主に改善を求める事が可能になっている。その微修正が時間を掛けながらも推進されていく、
その先に、日本的雇用の変化が生じることを期待したい。採用前に労働条件まで比較検討するとともに、その内容についても、個別に労使で納得のいくまで話し合い、その上で双方納得して雇用関係に入るということが習慣化していけば、次の時代につながる、組織改革や人材の多様化、生産性の向上につながる可能性すら秘めていると感じます。
このテーマは、継続的に論じていきたいと思います。