ブログ

M&A仲介業の課題

事業承継を目的として、株式の引受先、譲渡先を探す際に、M&A仲介の仕組を使う事はかなり一般化していると思います。この「仲介」という仕組みは、国内で不動産売買等でもかなり一般化している仕組で、「売り手」及び「買い手」の双方の間に入り、双方の利害を調整して、まとめていく形。国内M&Aの世界では、かなり一般化し、事業承継等を考える際も、まずは、この仲介業者に相談を持ち込むケースが多いのではないかと思います。

本来、事業承継を考える時に、もっとも相応しい相手(引受先)を探し続けて、多くの候補者の間で、コミュニケーションを行い、引き受けた後の事業の運営方法やブランド、従業員の承継ということは当然検討する要素とする他、資金繰りに関するものの考え方、優先順位、引受先が有する既存の事業と本件事業との将来における関係性や事業計画、事業環境が厳しくなった場合の対応など、多くの要素を、前広に問答をして、その応答から得られる情報も総合して、良い相手が見いだせた場合に納得の上決断することが理想である。

しかし、この「仲介」という仕組みには、まとめること自体が一つのゴールになるという特殊性があるため、引受(買い手)候補が現れた場合に、仲介業者としては、どのように合意に持ち込めるかという動機が生まれ、双方の意向を「調整」「調和」させるための行動に重きを置きやすいという傾向があります。

もちろんそのような調整の結果として仲介のゴールがあるので、やむを得ない事ではありながらも、やはり大事に育ててきた事業を承継してもらうというという、事業承継の基本に立てば、まとめることが最優先になるべきではないと考えます。

また、手数料に関して、最近の新聞報道(日経新聞5月31日朝刊)によれば、仲介手数料について、一部に過剰な高額請求のトラブル事例があるとのことで、仲介手数料の十分な開示を求める方向でM&A指針を改定するという。仲介業者から提供される業務と手数料が釣り合わない事例がでているということ。これはやはり仲介というまとめる事自体を提供価値と捉える契約の特殊性に起因するのではと思います。

その意味では、仲介手数料を明確化することだけではなく、そもそも事業承継を検討する際には、仲介等のプロセスに入る前に、承継元(売り手)側として、譲歩できないポイントや承継後のあるべき姿を詳細に検討し(これらをプランに落とし込む計画をここで「事業承継プラン」と呼びます)、そのようなプランを作った上で、承継先探しに入る事が、状況に流されず、より納得のいく事業承継を行う上で大切なことと考えます。

そのような「事業承継プラン」作成のお手伝いについて、当事務所で対応可能です。お問合せください。

関連記事

  1. 人的資本とM&A
  2. M&A契約書チェックは重要!(経営者保証)

最近の記事

PAGE TOP