ブログ

朝ドラにみる遺言の手続き

NHKの連続テレビ小説「虎に翼」が人気ですね。戦後のできたばかりの家庭裁判所を舞台に、様々な人間模様が映し出され、戦後復興時代の社会の様子がわかり、とても興味深いですね。

先週の回では、遺言に関するシーンがありました。亡くなった資産家の妾という若い女性が登場し、遺言書を持っており、自分が財産を譲り受ける権利があると、遺族に対して主張します。当然のごとく、遺族は反対し、この件は家庭裁判所に持ち込まれます。遺言内容を確認する、「検認」という手続きに進みます。

遺産に利害のある人々が家庭裁判所に集まり、検認手続きがはじまります。この「検認」という手続きは、家庭裁判所において、遺言書の状況を調査・確認し記録する手続きで、封印のある遺言は、勝手に開けることはできず、家庭裁判所において開封されます。

ドラマでは、その遺言書に記載されていた保証人が架空の人物であったことが判明して、その遺言は無効とまり、遺産分割協議に話が移っていきました。

通常の遺言では、この「検認」という手続きを経ることになります。この検認を経て、「検認済証明付きの遺言書」となり、ようやく相続の手続き(銀行口座や不動産の移転)に移ることができるのです。遺言書があるのに、検認という事後の手続きが必要になるのです。

通常の遺言を作成しても、検認が必要ということでは、残された相続人に手間と費用が一定程度かかってしまいます。この検認手続きを経なくても、遺言書をもとに相続の手続きを進める方法はないのでしょうか?

そこで登場するのが、公正証書遺言と自筆証書遺言の法務局保管制度です。

公正証書遺言とは、証人二人の立会の下で、遺言者が公証人(裁判官のOBなど法務大臣が任命)に対して遺言の内容にしたいことを予め伝え、公証人において、公正証書遺言(案)が作成されます。それを遺言当日に証人立会いの下で、口頭で述べて、間違いがないことを確認して、遺言が完成します。その完成した公正証書遺言原本は公証人役場に保管されます。

また、自筆証書遺言の法務局保管制度は、自分の作成した遺言書を持参して、管轄の法務局に行き、遺言書保管官が、外形的なチェックをした上で、原本を法務局に保管します。

上記のいずれの制度も、作成に法律の専門家が関わっていること、作成後の改竄がされないことから、その相続実行に際して、家庭裁判所の検認の手続きは不要とされています。

それぞれ一定の費用(公正証書遺言:証人2名日当+4万円程度、自筆証書遺言保管制度:作成費用+1万円程度)はかかりますが、遺言者自身で、遺言の内容に関連する法律事項を十分に学んだ上で対応すれば、かかった費用に対して、メリットは大です。さらに法務局の保管制度では、遺言者の死亡手続きが開始されると関係者に通知される制度まで整っており、よりスムースな相続が可能な制度になっています。

当事務所では、行政書士の業務として、遺言書の作成支援や、証人立会い、遺言執行者への就任等の業務を行なっています。どうぞお気軽にご相談ください。

最近の記事

PAGE TOP